2005年05月09日

墨流とは(4) 兼愛−A

前回に引き続き「兼愛」について述べます。

前回は、社員・従業員に対する「兼愛」でした。今回は顧客に対する「兼愛」です。

顧客に対する兼愛とはどういうものでしょうか?  小売店の例を考えて見ましょう。

今、小売店は戦国時代にあり、「お客様は神様です」とばかり、顧客ニーズにあった品揃えや価格戦略をどうするか日々厳しい競争を繰り広げています。

最近では、顧客ニーズを捕まえるためにCRM(カスタマー リレーションシップ マネジメント)といわれる顧客管理が重要であると言われています。

CRMにおいては、顧客とお店の関係を商品の販売の一回限りのポイントでとらえるのではなく、マーケティング活動(宣伝・広告、販促活動など)とそれへの顧客の反応(来店、購入、要望など)、何度かの継続的・反復的な販売(取引)の集積により、商店と顧客の双方にとって相手の顔が見える関係を築いてゆくことを重視します。

モータリゼーション以前の毎日同じ店で同じ顧客が買い物をしていた時代には、小さなコミュニティーにおいて近所づきあいの延長線上に商店と顧客の関係がありました。

自分の子供のころを思いだしても、同級生は、うどん屋、文房具屋、漬物屋、雑貨屋、床屋、風呂屋・・とお店の子供が大勢いました。

しかし、現在のようにモータリゼーションで商圏が拡大し、スーパーマーケットに代表されるように買うほうも売るほうも匿名性が高くなった時代においては、人間関係に依存して「相手の顔が見える」ような関係を作ることはとても困難になりました。

それをカバーするために、レジで顧客の属性(男女、年代など)を値踏みしてデータを打ちこんでおいて、購入した商品の組み合わせとの相関を調査したり、近隣の行事や気温・天気と売れ筋商品との関係を分析するなどして、マスとしてではありますが顧客を見えるようにする努力が行われています。 

そこでは、POSデータを蓄積し、データ・マイニングによって分析し・・・といったIT技術の活用が不可欠の要素となっています。

また、ハウスカードを発行してさらに個々の顧客の購買行動をより直接的、具体的につかもうとする努力もなされています。
その上で、FRM分析により顧客の購買の頻度、最近の購買時期、購買金額などから顧客を層別し、「優良」顧客にターゲットを合わせた販売施策を検討していくことが提唱されています。

ところが、ここで疑問が湧いてきます。

全国レベルに展開するチェーン店やハウスカードを発行できるような大規模なデパート、GSM、ホームセンターなど以外の普通の商店においては、IT技術を駆使した顧客の層別管理や囲い込みなどはとても現実的に活用できる手法とは思えません。

結局は、お店に来てくれた顧客一人ひとりのニーズに耳を傾けて誠意をもって対応して、その積み重ねでお店を自己変革し、顧客にファンになってもらうことで勝負していくことにならざるを得ないのです。

その際に、一人ひとり異なる存在である顧客を分け隔てすることなく、子供だから年寄りだからとか、男だから女だからといった色眼鏡をかけずに、顧客の心、顧客の気持ちになって、自分のお店が提供する商品・サービスを見つめてみることが重要です。

このことが、顧客に対する「兼愛」なのです。

ところで、このような対応がとても難しい時代になってきました。

万引きが経営に影響を与えるほど横行しています。
クレーマと言われる理不尽な要求をしてくる顧客も増加していると言われています。

そのような時代に、顧客に対する兼愛(=博愛、平等)を貫くためには、真の顧客とそうでない顧客の振りをしたものを見分ける眼力も必要になってきます。

つくづく難しい時代になってきました。



posted by 利アップ at 00:23| Comment(1) | TrackBack(0) | 墨流とは | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
企業経営、詰まる所は資本主義。
資本主義と墨子の思想は相容れないから矛盾した事言ってますよ。
Posted by at 2008年06月14日 06:44
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