2005年05月16日

墨流とは(5) 兼愛−B

従業員と顧客を取り上げて、墨流の「兼愛」の重要性を見てきました。

しかし、「兼愛」の命題が当てはまるのは従業員や顧客だけではありません。

最近、企業を取り巻く様々な利害関係者をさして「ステークス・ホルダー」という言葉が使われます。
別に利害関係者と日本語で言ってもよさそうですが、利害関係者というと「取引を通しての関係」というニュアンスが強く感じられます。
一方、ステークス・ホルダーとは、単に取引関係上の利害だけに限らず、例えば資本を出した株主、運転資金を貸した銀行など資本・資金にからんだ関係者、自社の隣地に住んでいる住人や地元の自治体といった地理的・物理的な関係者なども含めてずっと広範な人や企業が含まれてきます。

このようなステークス・ホルダーと称されるような企業を取り巻く様々な利害関係者がクローズアップされてきたのは、これまで積み重ねられてきた産業の歴史の教訓によっています。

産業の歴史は、労働争議、公害問題、オイルショック、バブル経済の崩壊など様々な問題に直面し、それを乗り越えるなかで、企業が企業を取り巻くさまざまなステークス・ホルダーとのあるべき関係をひとつひとつ築き上げてきた歴史でした。

現代の経営においては、これらの歴史の教訓を踏まえて、様々な広義の利害関係者であるステークス・ホルダーに対して適切な対応をとることがとても厳しく求められています。

適切・的確な対応をし損なうと、企業の存続さえ危うくなってしまいます。

この様々なステークス・ホルダーに対して的確な対応をするためにも「兼愛」が大切なのです。

地球環境問題を例にとってみましょう。ステークス・ホルダーは人類全体にまで広がるあいまいな存在です。

温暖化防止のためののCO2削減や代替フロンの使用など地球環境対策にはコストが掛かります。最低限の公害対策でさえコストアップ要因なのに、環境ISOにでも取り組んだりすれば、さらに面倒を背負い込むことになりかねません。

そこで歯を食いしばって地球環境問題に取り組むためには、目の前の儲けだけに心を奪われるのではなく、ステークス・ホルダーである「生きとし生けるもの」への真摯な思い、すなわち「兼愛」を持つことが必要になってくるのです。

基本は対象に対して謙虚に「兼愛」をもって取り組むことなのです。
そうでなければ、心から必要性を理解して実のある活動を行うことにつながらないのです。

その他のステークス・ホルダーへの対応も同様です。
テクニックで相手をコントロールしようとして、たとえ一時的には成功しても、永続的にそれを続けることはできません。

個々の企業の経営の視点、特に短期的な経営の視点からみると、これらのステークス・ホルダーへの対応は、面倒でありコストアップにつながる厄介なものであったりします。

そこを乗り越えるために、「兼愛」をもって虚心坦懐、心を開いて偏見をもたず、思い込みを排して物事をみることが重要です。

そうすることで、自ずと企業存続の条件である「天下の利」へ通じる道が見えてくるのです。

「天下の利」は平等からうまれ、「天下の損」は差別から生じる と言われるゆえんなのです。

posted by 利アップ at 00:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 墨流とは | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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